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2010年08月04日(水)

「知ってる」ことと「できる」ことは・・・ [美容医療界]

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老け顔でゴメンね

ご無沙汰しております。
本日の話題は「フィラー」です。

「フィラー」というのは、注入による治療です。
ヒアルロン酸
コラーゲン
ポリ乳酸
ポリアクリル  等があります。

注射器で皮膚の中に注入します。
刺入した針先は見えない分けですから、局所解剖の知識が大切です。

目元
法令線
口唇、口元
額、こめかみ
オトガイ  等に治療することがほとんどです。

形成外科専門医は、
顔の外傷、先天性異常、再建を通じて
上記の全ての場所、すなわち、フィラーを注入する部位に実際にメスを入れて手術することを実践してきました。
実際に皮膚の断面や皮下組織の状態を、
直接に触れて「認知」している
ことになります。

血管や神経は、解剖図とは、大違いです。
走行は立体3次元ですし、太さや針が触れたときの振るまいも、実体験として理解しています。

フィラーを血管内に誤って注入した医療事故
を聞く度に、
学生の解剖実習以来、メスを持たず、
実際の皮膚の下の血管走行を見たこともないドクターが、
誤って注入するのも当たり前か・・・
とため息がでます。

先日、眼科のドクターが手術の見学にお越しになりました。
下眼瞼リフト+眉下切開による上眼瞼リフトです。

下眼瞼を切開して、眼輪筋、眼窩隔膜、眼窩脂肪、
そして
「老け顔」の主因になっている、頬の筋膜と眼窩縁の三角に凹んだ溝(ゴルゴ・ライン)
の構造を、皮膚を切開反転して実際に見ていただきました。

Ben:「先生、ここの部分にフィラーを、この凹みの形に注入しなければいけません」
見学医師:「うわぁ、私には、できそうにありません・・・」

フィラーでゴルゴ・ラインを改善するには、上記の三角形の溝に注入しなければいけません。
我々は、普段から手術で実際に立体解剖を見ているので、皮膚の上からでも、何とか、適切な注入部位を探り当てることができます。

実際に、下眼瞼リフトのような手術を行っていない、皮膚科を含めた他科のドクターが、解剖図のイメージをもとに、フィラーを注入されていることに
「勇気があるな〜」
と思います。
はっきり言って、難しいです。
実際に立体構造を理解していても、難しいです。

例えば、僕がチワワの解剖図を持っていたとして、
愛犬のチワワの顔に「フィラー」を注入することは、難しくてできません。
たかが、注入なのだから、適当に「膨らみ具合」を感じながら、その辺りに注入すればOK!
とは、考えられません。
経験則で、「結果OKなら、いいんじゃないの!」
にも、納得できません。
そんなドクターに限って「名人」を自称しています。

上記のヒトのゴルゴ・ラインにしても、実際に、質感の全く異なる
眼窩隔膜と表情筋筋膜と皮膚
のトライアングルに注入するフィラーの選択には、本当に心をくだきます。
法令線、口周囲も同様です。

多くの皆さまが、広告を見て、
フィラーの名前と価格
を比べておられますが、
「本質」を外されているとしか、言いようがありません。

どの部位に、どの種類でどの硬さのフィラーを、
どの方向から、どれだけ注入するのか・・・

実際の手術で立体解剖を熟知している、形成外科専門医にお任せいただければ幸いです。

「知っている」ことと「できる」ことは違うと思います。

水族館の「魚博士」に
「お寿司」を握ってもらおうとは思わないのではないでしょうか?


Posted by 管理者 at 14時01分   パーマリンク

2010年05月28日(金)

<オリジナル>? 美容医療の品格 [美容医療界]

ぼやきます。

美容広告で
「オリジナル」
という言葉が目につきます。

差別化を明らかにしたい「商売」からでている言葉です。

例えば、二重瞼の手術
埋没法なら、
ラインを造りたい皮膚の浅い真皮部分と
挙筋で引き上げられる組織を糸で留める・・・それ以上でも以下でもありません。
それだけです。

皮膚側と結膜側で高さを変えたり・・・
腱板に一部掛けたり、挙筋腱膜に掛けたり・・・
または複雑にジグザグに通してみたり・・・
点にしたり線にしたり、長方形にしたり台形にしたり・・・

腱板法だから糸が結膜側に露出して危ない???
コマーシャル用の議論に思えます。
腱板法でも、粘膜の下に糸を埋め込んで露出させないのが
当院での工夫です。

医師である限り、誰でも工夫することです。
昔から行われてきたテクニックです。
オリジナルではありません。

当然、ある人に行う手術は
色々の方法を組み合わせて行うべきですし、
実際に一人の患者様に、上記のテクニックを組み合わせて行うのが通常です。

オリジナルというには、到底およびません。

オリジナルの○○○法・・・???
あり得ません

美容医療の品格を考えさせられます。

独自の工夫を加えない手術など、あり得ません。
使用する器具や材料を変えただけで、オリジナルではありません。

切開法の重瞼ならば、
刃物のメスをつかうか、高周波メスを使うか・・・
切開線より睫毛側の、皮下組織をとるのか、とらないのか・・・
眼輪筋は、温存するのか、一部でも切除するのか・・・
眼窩隔膜と眼窩脂肪をどのように整えるのか・・・
腱板前組織をどの程度温存するのか・・・
挙筋腱膜にはステイするのか、しないのか・・・

一人一人、基本解剖は同じですが、位置関係や脆弱さなど、組織は全く異なります。
一人一人に、臨床経験から工夫の限りを尽くして行うのが手術です。

広告で、<独自のオリジナル・テクニック>という言葉を目にする度に、
興味を持って調べてみると、
良識と経験のある外科医なら、誰でも、行っている工夫・・・
もしくは、行ったが、不都合があるので止めた・・・医療がほとんどです。

痛み、出血、腫れなどを少なくする工夫は、医師の常識です。

<独自の工夫>を組み合わせるのが「手術」です。

オリジナルの○○○法・・・
が、医学会などを通じて、同業の医師から、
まさに革新的なオリジナルと認定されるなら、
論文で「引用」されるようになります。
他の医師が、その言葉を「引用」するようになります。
過去の常識と異なる方法なら<オリジナル>認定です。

オリジナル?
言ったものの勝ち・・・???
恥ずかしくないのでしょうか?

当院のゲストや家族が、
広告で見かけた<オリジナルの○○○法の手術>
を受ける・・・と相談をされたら
羽交い締めをしてでも、制止します・・・(真面目)

過去から存在する工夫に、独自の工夫を加え続けているクリニック。
<オリジナル>ではなく、
むしろ
進化し続けているので、前回の手術がすべて、過去の方法と考えているような、
クリニックにしなさい!
とアドバイスします。

美容医療や抗加齢医療の
<品格>
を、下げ続ける、
<ビジネス系クリニック>
が、後を絶たない現状を憂います。

Posted by 管理者 at 11時25分   パーマリンク

2009年12月31日(木)

実力のともなった、さじ加減 [美容医療界]

皆様、本年も、つたない戯れ言のコラムにおつき合いいただきましてありがとうございました。

今年の美容医療界を振り返ると、

@新規開業と、経営不振による閉院が、ともに多かったこと
A古くから有る機器の単なるアレンジの新型の光学機器が氾濫したこと
B抗加齢や抗老化と称する、ビジネスに過ぎない、浅はかで、とても医療とは呼べない 施術が氾濫したこと
C価格破壊と称して、時間もコストも省略しながら、肝心の医療の質まで低下させ、大きな障害やトラブルを起こすクリニックが目立ったこと

が、思い浮かびます。

形成外科のトレーニングをきちんと受けていないのに、医師として経験も浅いのに、平気で開業する・・・救急医療のトレーニングを積んでいないのに、平気で点滴療法などで心肺に影響する薬剤を使用する・・・
モラルのない開業医が増えました。

美容外科は、皮膚外科です。外科ですから、どんなに慎重に行っても
ゼロにはできない合併症のリスクが必ずつきまといます。
血行障害や皮膚壊死、感染、血腫、肥厚性瘢痕、アレルギー・・・など

形成外科専門医は、これらのトラブルを、きちんとケアできるトレーニングを積んでいます。
ベンクリニックで手術を受けていたゲストの方で、不幸にも合併症で、心労をお掛けし、大切な時間を浪費させてしまい、申し訳がない思いでいっぱいの方も、実際におられます。
しかし、我々は、形成外科専門医として、「取り返しのつかない」合併症を避ける、経験と思慮分別を備えています。
結果として、必ず、満足していただけるまで、リカバリーのための修正やアレンジを加える、「余裕」を残しています。

実際に他院の施術の、リカバリーを希望されて来院されるゲストが、今年は、本当に増えました。
特に「プチ整形」と呼ばれる施術は、皮膚外科の経験が浅いドクターでも、甘くとらえて、ドンドン手を出されます。そのためか・・・
#フィラーの種類の選択と、注入する深さを誤って、凸凹になった下眼瞼を何例もリカバーしました。
#ACRで顔面全体が、皮下出血と腫脹で、パンパンになった状態で泣きついて来られた方もおられました。
#血腫や感染症で皮膚壊死を生じた場合に、形成外科的な再建手術ができないため、酷い障害を残してしまっている方もおられました。
#腋臭症の再発手術は50例を越えてると思います。実際、皮弁法で開けてみると酷い状態で、アポクリン腺が全く取れていないものもあります。

実際に、当該クリニックの広告やホームページを見ると、良いことずくめのお話しばかりです。自分を名人と自画自賛です。
何故、このクリニックの、このドクターにやってもらう気になれるのだろう・・・と、不思議な気持ちになるばかりです。良識があれば、詐欺っぽく、気持ち悪く感じるはずなのに・・・?

繰り返しますが、当院でも合併症はあります。しかし、適切に対処できるかどうかに尽きます。
形成外科専門医には、失われた組織を再建するノウハウがあります。

クリニックを選択される場合に、「美味しそうな話」と、調子の良い「営業トーク」に心を奪われずに、基本的に、人間として「大人」であるか、医師として通常の皮膚外科の診療をきちんとこなしてきた「経験」があるのか・・・皆様の良識を応援することしかできません。
安くて、安全で、良いもの・・・があるのなら、間違いなくすべてのクリニックで採用されているはずです。
自画自賛クリニックだけが採用しているはずがありません。
品質の維持にはコストがかかるものです。
「無い物ねだりはやめましょう」

後戻りを考慮した、過矯正
将来の修正を考慮した、組織の扱い
これらの
<実力をともなった、さじ加減>
こそ、
美容外科医師に必要な、キャリアと考えます。

Posted by 管理者 at 10時37分   パーマリンク

2009年03月28日(土)

クワドラカット手術が無痛になりました [美容医療界]

今まで、手術の痛みが心配で、
「ワキガ」の根治治療を
躊躇されていた方に朗報です。

ベンクリニックでは、かねてから、ワキガ手術は、3段階麻酔として細心の痛みコントロールをしてきましたが、
この度、「クワドラカット」の麻酔に、新たにボディジェットの噴霧麻酔と麻酔シールを使用することになり、無痛手術となりました。
麻酔薬の使用量も少なくなり、身体にもやさしくなりました。
針で刺す痛みはなく、「軽く押さえられている」程度の感覚です。
通常は別々に行う、麻酔と剥離の操作が、無痛の状態で同時に完了するので、
手術時間も短縮されました。
手術を行う立場としても、本当に痛みがなく、負担が少なくなったので、安心して手術をお勧めできるようになりました。
傷跡も、痛みも、負担も最小になり、
クワドラカットのベンクリニック品質がさらに向上したことで、
他の手術に比べて、圧倒的に優れていると考えます。

Posted by 管理者 at 12時29分   パーマリンク

2008年12月08日(月)

第3回 日本美容抗加齢医学会:J3A <その1> [美容医療界]

学会報告です。

11月30日に横浜で開催された
J3A
という学会で勉強してきました。

プログラムにしたがって1セクションごとに5回に分けて、コメントをアップしていきます。
まず<その1>として、

パネル1:肝斑治療のための戦略
 6年前に開業した当時は、
肝斑には光・レーザーなどの治療は禁忌
だとされていました。理由は
肝斑の原因は分かっていない。
肝斑は刺激で濃くなってしまう。
など、ですが・・・
僕自身は、開業当時から、肝斑にも積極的にフォトRFやジェントルレーズによる光・レーザー治療を取り入れていました。
当時は、リスクがあることをして「バカな奴」と揶揄されたりしましたが、
痂皮をつくるほど強く照射しなければ、薄くできることが実感できていたので、積極的に照射していました。マイクロスコープで肝斑を観察していた経験と臨床医としての理論構成から、

僕の持論は

”肝斑は真皮にある特殊な血管(動静脈吻合)の不可逆的な異常が主因”

というものです。
すなわち、
@肝斑は左右対称に出る:
 血管走行や神経分泌などの解剖学的な要素が関与していると考えます。
A肝斑は刺激で濃くなりやすい:
 真皮内にある動静脈吻合の異常による、血流分布の変化を疑います。
B肝斑は慢性の刺激が主因をいわれています。
 慢性刺激のない状態でも、発症・増悪をすることもあります。僕は、急性・慢性を問わず、ある刺激が、不可逆性の血管の異常を引き起こしたことが、主因と考えています。
すなわち、毛細血管レベルではなく、
自律神経支配が存在する程度の太さを有する、
細動脈〜細静脈:動静脈吻合(シャント)
などの異常血管が、少しの刺激に対しても、血流量を変化させてしまい、透過性亢進やメラニンの過剰生成をしていると考えています。

したがって、初発時には、慢性の反復刺激は関係しておらず、
むしろ、生下時から存在している、顕在化していない解剖学的な病因
@血管異常A神経異常B胎生期の突起癒合時における異常
をベースにして
遺伝的に「易刺激性」が亢進している時期に、何らかの強い刺激が引き金になり、異常が顕在化して発症するのではないでしょうか。

以上から、僕は、炎症が起こることを押さえながら、真皮の異常血管に対するケアと、メラニン色素そのものを減らす治療を同時に行えば、肝斑は治療できると信じて、次の@からCの治療を続けてきました。

@トラネキサム酸で炎症が起きることを押さえる。
Aメラニンにはフォト・レーザーで積極的に治療する。肝斑に重なってあるシミには痂皮ができても構わない。
B異常血管を破壊できる機種を選択する。(フォトRF・ジェントル・Q−YAG)
C破壊した異常血管やメラニン産生細胞が正常組織に分化誘導されるように、イオン導入やメソカクテルなどで、代謝を正常化する栄養素を補充する。

です。

今回のパネルでは、ビックリするほどに、積極的な治療がディスカッションされていました。

「え〜〜、肝斑は刺激しないで、放っておくのが一番の治療!!と、あれほど、提唱していた、先生方が・・・・」
「手のひら返したみたいに・・・」
「フォト・レーザーを照射している、僕のことを、アホ!!と言っていたでしょう・・・」

僕の憤りはとまりません!!

点滴療法をはじめたときも、同じでしたが・・・

時代が、後で、追いついてくるのかな・・・
と、実感するパネルディスカッションでした。

<その2>へ続く・・・

Posted by 管理者 at 12時46分   パーマリンク

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